診療内容

近視

原因

近視とは、遠視・乱視とともに屈折異常の一種です。もっともなじみのある目の病気かもしれません。
人間は、前方からはいってきた光を、角膜と水晶体で曲げて、神経があつまっている網膜に焦点をあわせることで対象物を見ています。近視の場合、光の焦点が、網膜より手前にあるために、近くは見えますが、遠くは見えにくくなります。
眼球が大きい(眼軸長が長い)こと、または角膜と水晶体の屈折力が強いことが原因となります。

図:ピントが合う位置

近視の原因には遺伝的要因と環境要因があることがわかっています。 遺伝的要因とは、ご先祖やご両親から受け継いでいる、遺伝子によって決まる目の長さ(眼軸長)からくる要因です。一方環境要因とは、屋外で遊ぶ機会より、家の中でスマートフォン・テレビゲームなど、近いところを見て遊ぶ機会が増えている、子供たちの目をとりまく環境からくる要因です。

写真:スマホを見る子供

遺伝的要因の方が、環境要因よりも近視の発症に与える影響が大きいことが分かっており、遺伝性の、目の長さ(眼軸長)が伸びて起きる近視は進行が速いです。
当院では、遺伝的要因の度合いを調べる近視遺伝子チェックに対応しております。

図:眼軸長による違い

赤ちゃんは遠視が多いですが、小児期から年齢とともに近視の割合がふえていきます。最近学童期の近視の急激な増加が問題になっています。2017年の東京都で行われた調査で小学生の76.5%、中学生の95%に近視があることがわかりました。また年々低年齢化しており、未就学のお子様にも拡大しております。

写真:視力検査

近視の増加は、世界的な問題でもあり、2050年には、世界で全人口の半分にあたる50億人が近視になると予測されています。日本を含む東アジアは特に近視の割合が高いです。これは環境要因が影響していると考えられます。
遺伝性の近視では、眼軸長の伸びが速く、網膜・視神経という重要な目の組織に、引っ張られるストレスが加わり、網膜剥離・加齢黄斑変性症・緑内障といった、重篤な目の成人病に、将来的になるリスクが高まります
特に進行性の強いものは、病的近視とよばれます。成人しても近視が進行し、網膜・視神経の変形が強まり、さまざまな病気を発症して失明に近づきます。(失明原因の第4位)

症状

裸眼で近くは見えるのに、遠くは見えにくい(黒板、離れたテレビ、人の顔、映画など)目を細めて見る、顔をしかめる、ものに近づいて見る、まばたきが増える、授業に集中できない、などです。

治療

近視の進行予防治療では点眼薬をおもに使用します。マイオピン点眼ミドリンM点眼(サンドールMY点眼・トロピカミド点眼)があります。
マイオピン点眼は、最新の予防薬です。眼軸長が伸びる遺伝性の近視に対する有効性が証明されています。現時点で国内未承認薬であるため、診察が自由診療となり、治療費がある程度高価になります。
一方、ミドリンM点眼は、歴史があり、健康保険適応ですので、治療費は比較的安価です。ピントを合わせる筋肉(毛様体筋)の緊張をといて、仮性近視に対する予防効果があります。点眼の際しみるのと、点眼後数時間、瞳孔をひろげる効果が残り、すこし見えにくくなりますが、いずれも慣れていきます。
仮性近視が対象となり、遺伝性の近視に対する効果は限定的です。

写真:点眼薬

また近視予防のサプリメント:ロートクリアビジョンジュニアEXも取り扱っています。有効成分クロセチンによって、屋外活動で浴びる太陽光と同様に、近視と眼軸長をおさえる効果がしめされています。
6才から服用可能で、無味無臭の小粒の飲みやすいソフトカプセルです。

写真:サプリメント

他の治療法として、オルソケラトロジーがあります。これは、夜間寝ている間に、オーダーメイドのハードコンタクトレンズを装用して、角膜の形状を改善させる近視矯正法です。日中は裸眼で過ごせるようになります。
メスを使わない矯正法ですので、中断すれば数日間で、目はもとの形状に戻ります。(当院ではおこなっておりません。)

日常生活でできる近視の予防法

1.明るいところで、目を離してみましょう

まず基本的なことですが、勉強をしたり、ゲーム・スマートフォン・タブレットを見たりするときには、直接ライトで照らした明るい環境で(300ルクス以上)、目から30cm以上離すようにしましょう。目線と画面が垂直になるようにしましょう。寝転がらず、背筋をきちんと伸ばして机椅子に座りましょう。机はひじが直角になる高さがよいです。

電車や車の中では、背景が暗く、対象が動くため、特別目に負担がかかりやすいので、見ないようにしましょう。

図:目から30cm以上離すようにしましょう

2.適度に目をやすめましょう

ゲーム・スマートフォン・タブレットなど、手元を見る作業を長時間おこなうと、ピントを合わせる筋肉;毛様体筋が緊張し続けることで、凝り固まって、近視が進行してしまいます。毛様体筋をリラックスさせる休憩の時間が必要になります。30分に1回は 20秒以上遠くを見て目を休めましょう。

図:遠くを見る

3.遠くを眺めたり、屋外で運動したりしましょう

昔から、「緑を見ると目に良い」と言われていますが、これは本当です。遠くの山にある緑を見ると、手元に合わせて縮んでいた毛様体筋を緩めることができます。実際には、ただ遠くというだけでなくて、特定の木や家という目標を定めた方が効果的です。
また、毎日2時間以上、太陽光を浴びながら外遊びをすることで、近視を予防できることを、海外のデータがしめしています。直射日光をあびなくても、日陰でも大丈夫です。連続でなくてよいので1日2時間を努力目標として外遊びもしましょう。

図:校外学習

マイオピン点眼

当院では近視の進行予防治療に力を入れています。世界的に評価されている、低濃度アトロピン:マイオピン点眼を 積極的に処方しています。進行の速い遺伝性の近視に対して、目の形状をまもり、眼軸長を伸びにくくする効果で、近視の進行をおさえることが証明されています。(近視の進行を、平均して60%抑えることが示されています。)
残念ながら近視の進行を予防できるだけです。対象となるのは、特に進行の速い近視ですので、視力が回復することはありません。
マイオピン点眼は、現時点では国内未承認薬ですので自由診療扱いとなります。
また、通常濃度(0.01%)と高濃度(0.025%)を、年齢・進行度・治療効果・ご希望に応じて選択しております。

写真:マピオン

マイオピン治療の流れです。マイオピンに関する診療は自由診療扱いで、通常の保険診療と同じ日におこなうことはできません。(混合診療として禁じられております。)
まず、通常の保険診療で、視力・度数・眼軸長を計測し、診察で目の安全性を確認します。近視の遺伝の状況をうかがって、ご相談の上で、治療開始を決定します。
別の日に、保護者様だけで、点眼を1本買いにきていただきます。(診察不要で窓口販売のみです。)
マイオピンを、毎日寝る前に、両目に1回点眼していただきます。
マイオピンには、目の形状をまもる効力と、瞳孔をひろげる効力があります。点眼開始後しばらくは、翌朝、まぶしさの訴えがないか確認してください。まれではありますが、翌朝まで効果が残り、まぶしさやかすみを感じることがあります。生活に支障はありませんし、時間で必ず戻りますが、その場合は、ご連絡ください。
約1カ月点眼を続けた時点で、ご本人様と一緒に来院ください。
この1カ月目の診療から自由診療に切り替わります。
視力・度数・眼軸長を測り、副作用がないか(きわめてまれです)を確認して、治療を継続します。窓口でマイオピンを1~4本購入いただけます。
これ以降は4カ月毎の診察が必要になります。
次の診療までにマイオピンが少なくなった場合には、保護者様だけで来院いただき、購入いただけます。

近視予防効果の程度には個人差があります。まず2年間以上の治療が推奨されています。治療費を度外視すれば、近視の進行がほとんどおさまる、中学生まで治療を継続されるのが良いと思います。
治療の終了時期は、進行のデータをお見せして、保護者様とご相談して決めております。
なおマイオピン診察・購入の日に眼鏡処方をしたり、花粉症や結膜炎の診察をして薬を処方したりすることはできません。受付時点で、どちらの診療をご希望されるか確認いたします。
導入以来、マイオピンの処方実績は市内トップクラスです。

写真:タブレットを見る学生

診療時間

診療時間 日・祝
午前 9:00〜
13:00
○※
午後 15:00〜
18:00

※火曜のみ受付12時まで。また月1回臨時休診がございます。電話でご確認ください。

眼鏡処方、コンタクトレンズ処方、オクルパッドの受付は終了30分前までとなります。

原則予約不要です。
(手術・特殊検査・ハードコンタクトレンズ処方は予約制です。)

緊急手術がある場合、診療時間を切り上げる場合がございます。

コンタクトレンズ未経験の患者様の処方は行っておりません。