診療内容
ドライアイ
ドライアイとは、涙の量や質に問題があるため、さまざまな目や身体の症状を引き起こす病気です。
国内の推定患者数は2千万人ですので、国民の実に6人に1人はドライアイを持っていることになります。とくにオフィスワーカーでは3人に1人持っているという報告もあります。
近年、スマートフォン・パソコン・タブレット・ゲームなどのデジタル機器の普及により患者数は急速に増加しています。男性より女性の方が多く、年齢とともに増えますが、最近は小中学生でもめずらしくなくなっています。
原因
ドライアイの原因は多岐にわたります。
まず、スマートフォン・パソコン・タブレット・ゲームなどを長時間することが原因になります。
これらのデジタル機器を使う際には、集中して見るため、無意識にまばたきが減ってしまっています。まばたきは涙を分泌して、目の表面に行きわたらせる働きをしています。それがさまたげられることで、ドライアイになります。
次に、エアコン・コンタクトレンズ・喫煙・アイメイク・レーシックなどの目の手術も原因になります。
その他には、シェーグレン症候群・リウマチなどの膠原病や、一部の高血圧・精神疾患の内服薬も原因になります。
また近年ドライアイの原因として、マイボーム腺機能不全が注目されています。ドライアイ全体の80%の原因になっているという報告もあります。
マイボーム腺とは上下のまぶたに数十個存在し、涙に油を分泌している組織です。
マイボーム腺が分泌する油は、涙の蒸発をおさえる、涙の安定性を保つ、涙の表面をスムーズにする、まばたきの摩擦を減らすなど、涙を守るためのさまざまな働きをしています。
マイボーム腺機能不全では、マイボーム腺が汚れで詰まり、これらの働きがさまたげられて、ドライアイを起こします。
症状
症状はさまざまです。乾く、ゴロゴロする、違和感がある、充血する、目やにが出る、かすむ、疲れる、まぶしい、涙が一時的に増える、などです。
ドライアイで大きく視力が下がることはありませんが、症状は続きやすく、生活・学業・お仕事に悪影響が出ます。湿度や環境の影響を受けやすく、季節や時間帯で症状が変動することも特徴です。
治療
ドライアイの治療は点眼薬が基本です。治療薬は4つのグループにわかれます。
- ヒアルロン酸製剤:角膜の傷を治す、ドライアイの基本的な治療薬です。濃度別に0.1%・0.3%があり、通常のボトルタイプと、個包装の使い切りタイプがあります。
ヒアレイン・ヒアレインミニ・ティアバランス・ヒアルロン酸ナトリウム・アイケアなどがあります。 - 人工涙液:足りない涙を補う、涙と同じ成分の治療薬です。さし心地は良いですが、効果があまり持続しません。
マイティア・ソフトサンティアなどがあります。 - ジクアス:白目の細胞に作用して、水分を分泌させる治療薬です。コンタクトレンズをつけていても、点眼できます。さした時にわずかな違和感を感じますが、効果が持続しやすいです。現在、ドライアイに対して幅広く使用されています。
ジクアス・ジクアスLXがあります。 - ムコスタ:ムチン(涙の一番内側にあり、涙と黒目をくっつけている粘液)の量を増やす治療薬です。痛みや違和感をおさえる効果が期待できます。点眼直後にかすみを感じたり、口に苦みを感じたりすることがあります。
ムコスタ・レバミピドがあります。
炎症をともなっている場合、低濃度ステロイド剤(フルメトロンなど)を使用したり、角膜の傷が強い場合、抗生剤眼軟膏の点入をおこなったりします。
点眼だけでは症状が治らない場合、涙点プラグを組み合わせておこないます
日常生活でできるドライアイの予防法
1.デジタル機器を、長時間見続けないようにしましょう。
30分から1時間おきに目を休めるようにしましょう。近視・眼精疲労の予防にも有効です。
2.コンタクトレンズを適切に使用しましょう。
コンタクトレンズは、涙の水分を吸い取ってしまい、涙が目の表面にいきわたるのを邪魔してしまいます。帰宅時や休日はなるべく外すようにして、長時間つけないようにしましょう。そして交換期限を守りましょう。
2週間・1カ月使い捨てタイプより1日使い捨てタイプが良く、シリコンハイドロゲル、低含水率タイプが良いです。
3.エアコンの使い方に気を付けましょう。
エアコンの風が目に直接当たると、涙が蒸発しやすいです。ルーバー機能で目や顔に当たり続けないようにしましょう。あわせて加湿機能も使いましょう。
4.意識的にまばたきをしましょう。
まばたきとともに、涙が分泌され目の表面に広がりますので、意識的にまばたきを増やすことで、一時的にドライアイ症状を緩和できます。
5.目を温めましょう。
ホットパックなどで目を温めると、血流が改善し、マイボーム腺から油が出やすくなります。
これらの予防法の効果は限定的ですので、上記のような症状を感じられたら、一度は来院ください。ドライアイで視力が大きく下がることはありませんが、症状は長引きます。適切な治療をおこなうことで、快適な生活を手に入れられます。お仕事、学業の能率も上がります。
涙点プラグ
点眼で治りにくい患者様には涙点プラグが有効になります。涙点という目頭にある、鼻に通じる涙の出口に蓋をすることで、涙を逃がさないようにして、涙の量を増やす治療法です。
目薬は、涙を増やしたり、涙の産生をうながしたりする作用があります。一方涙点プラグは、現在ある涙を有効活用しますので、効果が早く、数日で効果が実感できることもよくあります。ドライアイのためにコンタクトレンズを使用できなかった患者様が、涙点プラグ挿入でコンタクトレンズを再開できることもあります。点眼を数種類使用されている場合、点眼の種類を減らすこともできます。
涙点プラグにはシリコン製、コラーゲン製の2種類あります。どちらも生体親和性に優れており、異物感や周辺組織への刺激がほとんどありません。
通常はシリコン製プラグを挿入します。入れた後は何年も入れたままで問題ありません。
シリコン製は、縫いつけるわけでなく、単にはめるだけです。もし違和感を感じる、涙が増えすぎる、など問題が生じたときには、外すだけで簡単に元にもどすことができます。
また涙点は、左右の目頭に、上下、計4箇所あります。症状の左右差、程度に応じて、どの涙点に入れるか選択できます。
シリコンは伸縮性がありますので、ある程度涙点の形にフィットしてくれます。しかし、涙点の形に合わずに、自然に外れてしまう患者様が一部おられます。また、患者様が目頭を強く触ると、外れることもあります。
その場合、シリコン製プラグを再度挿入しても、くりかえし外れてしまいます。
そういった患者様には、最新治療である、コラーゲン製プラグ;キープティアを使用しています。
コラーゲンは、柔らかく液体・個体の中間のような性質をもっています。涙点から内部の涙小管に注入していくと、体温で温まって涙小管の形にフィットして固定します。結果、涙が降りていくのを防いでくれます。
コラーゲン製プラグは、涙点の形状によらず、すべての患者様に使用できます。シリコン製プラグよりさらに違和感を感じにくいです。またコラーゲン製プラグは1本の製剤で複数の涙点に注入することができます。
コラーゲンは、涙で少しづつ溶かされて、3~4カ月程度で消失します。したがって、効果を維持するためには定期的に注入することが望ましいです。(たとえば、冬だけドライアイが出るようなら、冬に1回だけ注入することもできます。)
どちらのプラグも、入ってくるのがわかるくらいで、痛みはなく数分で終わります。処置の当日から、入浴・洗眼・洗髪を普通どおりにしていただけます。シリコン製の場合、目頭に不必要に触れないようにしていただくくらいです。
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
午前 9:00〜 13:00 |
○ | ○※ | ○ | ○ | ○ | ○ | / |
午後 15:00〜 18:00 |
○ | / | ○ | ○ | ○ | / | / |
※火曜のみ受付12時まで。また月1回臨時休診がございます。電話でご確認ください。
眼鏡処方、コンタクトレンズ処方、オクルパッドの受付は終了30分前までとなります。
原則予約不要です。
(手術・特殊検査・ハードコンタクトレンズ処方は予約制です。)
緊急手術がある場合、診療時間を切り上げる場合がございます。
コンタクトレンズ未経験の患者様の処方は行っておりません。