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2021.08.26 網膜の病気

病的近視とは

近視は、屈折異常のなかで一般的にもっともよく知られているタイプになると思います。前からはいってきた光の焦点が、網膜の手前で像をむすびために、裸眼で近くは見えますが、遠くは見えにくく、眼鏡が必要になります。

眼鏡やコンタクトレンズの度数で、0D~-3.0Dを軽度近視、-3.0D~-6.0Dを中等度近視、-6.0Dを強度近視と区分します。

強度近視では、目が前後方向に長い(眼軸長が長い)ため、眼球の変形の影響で目のいろいろな組織を傷害する、

病的近視になることがあります。病的近視は、失明原因の4位となっています。近視は多くの方がもっておられますが、たかが近視とはいえないのです。

以前の大規模調査で、40歳以上の方で近視の割合は37.7%. 病的近視の方は1.7%いることがわかりました。病的近視で視力を低下させる、白内障・緑内障・網膜分離・網膜剥離・黄斑円孔・脈絡膜新生血管など難治性の病気を生じることがあります。

白内障は、高齢の方はほとんど全員でますが、病的近視ではかなり早く、お若くして手術になることがあります。白内障が進行することで、近視の度数がさらに強まることもあります。また手術をする際に使用する眼内レンズの選び方で、近視を大きく改善したり、多焦点眼内レンズを使用すれば、眼鏡を使用しなくてよくなる可能性も高いです。

緑内障は、眼球が伸びるときに、目の一番奥にある視神経が、断線するように障害を受けることでリスクがあがります。緑内障では視野が障害されますが、近視による変形を受けた網膜に対応した視野も障害されるため、緑内障の診断や進行の判断をむずかしくさせます。

網膜分離は、引っ張られた、網膜が広がってさける状態で、進行すると網膜剥離をおこして手術が必要になります。

とくに網膜の中心に引っ張る力がくわわると、中心の黄斑に穴が開くことがあり、やはり手術が必要ですが、視力回復はむずかしくなります。

脈絡膜新生血管は、網膜の外側にある脈絡膜から異常な血管がはえてきて、中間にある網膜色素上皮の上または下まで伸びる状態です。この血管は非常にもろいため、簡単にやぶれて出血や水に近い成分がでてくることで、中心部分を変形させて視力を低下させます。

最近になって、注射療法(抗VEGF)の選択肢ができ、負担少なく治療ができるようになりました。

このように近視がつよまることで、将来的にさまざまな重篤な目の病気の基礎ができてしまうのです。小児期から近視が進まないような生活の工夫をすることは大切です。またご両親が強い近視をお持ちであるなど、進行する条件がそろっている場合には、マイオピンによる予防治療を検討したほうがよいと思います。

近視の変形で網膜が広範囲に傷ついています。

脈絡膜新生血管から中心の出血をおこして視力を低下させます。

 

 

 

 

 

 

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