お知らせ

2023.07.30 水晶体の病気(白内障)

多焦点眼内レンズのすべて

多焦点眼内レンズについて、2023年現在の最新情報をまとめました。長文になりますが、ぜひご覧ください。

中高年のほとんどの方が受けられる白内障手術では、目の中に眼内レンズを入れて光の通りをよくすることで、視力を回復します。最近では眼内レンズにもさまざまな種類があり、保険適応の単焦点眼内レンズと、選定療養の多焦点眼内レンズを選択することができます。

多焦点眼内レンズを選ばれた場合、手術費用は保険適応となり、レンズ費用が実費となります。

以前、自由診療で行われていた時期よりは、負担は少なくなっております。

通常の単焦点眼内レンズでは、遠方・中間・近方のうち、ご希望される1点にはしっかりピントが合い、その部分の見え方はくっきり鮮明に見えます。ですが、それ以外の距離は見え方が落ち、眼鏡が必要になることが多いです。

一方、多焦点眼内レンズは、最新のテクノロジーを用いて、遠方・中間・近方のうち複数の距離にピントが合うようになり、眼鏡をほとんどつけなくてよい生活が手に入ります。(両眼多焦点眼内レンズを挿入した場合、眼鏡が必要になる方は10~20人にお1人くらいです。)

手術後に眼鏡から解放されるための有用な選択肢である、多焦点眼内レンズですが、デメリットもあります。

まず、ハロー・グレア(異常光視症)という現象があります。これは、白内障が進行した場合にも生じます。夜間運転するとき、街灯や対向車のライトなどの光を見たときに、光の周囲に輪っかが見えたり、光が放射状に広がって見える現象です。

時間がたつとほとんどの方が慣れて運転が困難になることはまずありませんが、夜間の運転が多い、タクシーやバスの運転手の方は注意が必要です。

次に、コントラスト感度の低下があります。多焦点眼内レンズは、特殊な構造で、光のエネルギーを割り振って、複数の距離を見えるようにしていますので、個々の距離に行く、エネルギーは少なくなります。したがって、単焦点眼内レンズで、選択された距離の見方に比べると、鮮明さ、シャープさは劣ります。(15%程度下がります。)

また、それぞれの距離の見方に慣れるのに時間が必要になります。目で感じたそれぞれの距離の情報を、脳が整理して、一番鮮明な画像を選ぶようにして見るかたちですが、脳が新しい見え方に慣れるのに少し時間がかかります。また慣れるまでの時間に個人差もあります。

手術後1カ月もすれば、ほとんどの方が慣れますが、ごく一部長期間慣れられない方もおられます。

また非常にまれですが、白内障が強すぎたり、目の形状が特であったりすると、レンズの度数計測がうまくできない場合があり、術後に近視・乱視が残ることがあります。その場合眼鏡をかけることで視力は出ますが、眼鏡なしで裸眼視力を上げたい場合、レーシックなどの追加手術が必要になることもあります。

また、ずべての患者様が多焦点眼内レンズを選んでいただけるわけではありません。近視・乱視が極端につよい患者様、緑内障・加齢黄斑変性症・糖尿病網膜症・網膜剥離など眼底の病気があり進行する可能性が高い患者様は選べません。ただし軽症で進行性が低い場合は、リスクをご説明したうえでご希望されましたら選ぶことは可能です。

また、上述しましたように、職業ドライバー、細かい視力を要求される職業の方、また異常に神経質な方には向かないケースもございます。

さまざまなデメリットを説明しましたが、実際には多焦点眼内レンズを選択されて喜ばれている患者様の多くは、ほとんど眼鏡なしの生活を享受され喜ばれています。

眼内レンズは目の中心部に入れることで、涙や目やにでよごれることなく一生使用できますが交換は非常に困難となりますので、後悔のない選択をしていただきたいと思っております。

多焦点眼内レンズを選ばれても、レンズの特殊な構造で複数の焦点にピントが合うようになっているだけですので、手術時間が長くなったり、手術そのもののリスクが増えるわけではありません。

当院は多焦点眼内レンズをもちいた白内障手術の、厚労省認定施設です。多焦点眼内レンズの実績・件数は市内トップクラスです。

多焦点眼内レンズは、近方・中間・遠方が見えるパンオプティクス、シナジー、ファインビジョン。また中間から遠方まで幅広く見えるビビティ、シンフォニーまたそれぞれの乱視矯正タイプと、国内承認のすべてのレンズ採用しています。

当院では、手術を受けられる患者様全員に、レンズの種類についてくわしく説明し、患者様のお仕事、趣味をふくめた生活で優先される距離、レンズとの相性、価格を総合的に考えてベストのレンズを選択いただけるようにしております。

多焦点眼内レンズはある程度高額になりますので、多焦点眼内レンズを選ばれる患者様は、10人にお1人くらいです。

単焦点レンズでは、裸眼ではテレビしかはっきり見えませんが、多焦点レンズでは、裸眼でテレビとリモコンが同時に見えます。

 

 

上が多焦点レンズ、下が単焦点レンズです。同心円の輪がきざまれています。ピントを複数の距離にがあわせられるのが特徴です。

最新手術機械センチュリオンを使用しています。通常の症例であれば5分程度と短時間で終わります。(単焦点レンズとかわりません。)

 

多焦点レンズの副反応、ハローグレアです。夜間運転の時に、光がにじむ現象です。運転ができないほどではありません。

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眼鏡処方、コンタクトレンズ処方、オクルパッドの受付は終了30分前までとなります。

原則予約不要です。
(手術・特殊検査・ハードコンタクトレンズ処方は予約制です。)

緊急手術がある場合、診療時間を切り上げる場合がございます。

コンタクトレンズ未経験の患者様の処方は行っておりません。