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2019.11.07 その他の病気

アカントアメーバ角膜炎について

コンタクトレンズ装用者で比較的まれですが、重症な感染症をおこすことがあります。それがアカントアメーバ角膜炎です。

アカントアメーバ角膜炎の感染者はほとんどがコンタクト使用者です。普通の抗生物質が効かず、治療が困難な病気です。重症化しやすく、時には何ヶ月も治療を続ける必要があり、ひどい角膜の混濁を残して角膜移植以外に治療法がないなどということになることもあり、最悪なケースでは失明すらありえます。
 
かつてはきわめてまれな病気だったのに、ここ20年くらいでどんどん増え、最近では年に何十例も報告されてきています。
 
増えた原因はコンタクトの不適切なケアによると考えられています。正しいケアで大半は防げるはずなのに、現実にはコンタクト使用者の多くがケアに無頓着で指導を守っていないのです。
 
今回は特にこすり洗いとケース交換がなぜ必要なのか詳しく説明いたします。
 
なお、じつはアカントアメーバ対策をきちんとすれば他の角膜感染症に対しても万全なのです。

アカントアメーバは水道水にも

アカントアメーバは土の中にも、水の中にも、ごく普通にいる原生生物です。家の中のほこりにも、水道水の中にも存在しています。
 
幸い通常は無害です。人間には免疫システムがあって簡単には侵入できなくなっているのです。
 
ところが角膜にキズがつくとアカントアメーバが侵入する可能性が生じます。アカントアメーバの数が何十万、何百万と増えたとき初めて感染の危険が問題になる程度と考えられています。

アカントアメーバ角膜炎を起こす確率は相当に低いのですが、いったん感染が成立すると厄介です。良く効く薬が残念ながらないのです。目薬やのみぐすりが使われていますが効果は不十分となってしまいます。
 
病巣掻爬:病気の角膜を削り取ることが治療の中心になります。感染を起こした角膜を削る治療を根気よく繰り返すのです。入院して何ヶ月も治療を続けることもあります。
 
何とか感染そのものは落ち着いても角膜が白く濁り、血管が入り込み、表面がでこぼこになり、視力が大幅に低下してしまいます。
 
つまり、治療は難しいので、予防に力を注ぐべきなのです。しかも適切なコンタクトのケアを心がけることで予防は十分可能です。

実はMPSの使用はこすり洗いが前提になっています。十分なこすり洗いとすすぎによって細菌数は100分の1~1万分の1にまで減ることがわかっています
 
MPSはアカントアメーバに対する消毒効果がきわめて弱いのですが、アカントアメーバは細菌を貪食して増殖するので、細菌さえいなければアカントアメーバも増殖できないのです。
 
石けんでよく洗った手で20回以上こすり洗いして下さい。手は細菌だらけですから手洗いしないのは論外。コンタクトをさわる前には必ず手洗いを。また、こすり洗いしないでケースに入れるのはケースに細菌を持ち込んでアカントアメーバにエサやりしているようなものです。
 
こすり洗いが面倒でできない人は、ケア用品をヨードに代えるか、1日タイプの使い捨てコンタクトを使うべきです。
 
なお、「こすり洗いしなくても大丈夫」と無責任なことを言うコンタクト販売店があります。大嘘です。そういう店は信用ができませんから縁を切りましょう。

コンタクトレンズ学会と眼感染症学会は3ヶ月ごとにケースを交換するよう呼びかけています。

 

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